LOVEを伝播させるファンマーケティング
先週参加した宣伝会議「インターネット・マーケティングフォーラム2018」のインプットをメモメモ。
ファンマーケティング施策について、よなよなエールFUN×FAN団長の佐藤さんと、DeNAゲーム事業本部宣伝部長の今西さんの対談を聞いてきました。
お二人の話に共通していたのは、イベントもブランドもお客様と共に作り上げていく「共創」「共感」を非常に大事にされていること。また、社員のブランド愛着度も非常に大事にされていて、だからこそ、組織改革や人材育成が課題と仰っていて、どちらもこれからの時代に必要なことだと私も実感しているだけに、それを実践されて上手に体現されている2社の話はとても参考になりました。
例えば、DeNAの今西さんが考えるファンマーケティングへの基本姿勢は、
・お客様と会話できる距離感でイベントやるのが大切。
・運営スタッフもお客様と一緒に、とにかく楽しんで「楽しさ」を伝播させる。
ということ。
「1万人のイベントを1回やるよりも、100人のイベントを100回やる方が満足度は高い」と仰っていて、運営との距離が近いこと、ただイベントに参加するだけでなく自分たちも一緒にイベントを運営しているという意識を持ってもらうことが大切だと。また、最初のオフラインイベントは5人、10人の世界でやっていて、そこに集まるコアファンをいかに満足させられるか、次のお客様に伝播させられるかを重要視されていたそうです。イベント後のSNSの反響を見ながら、数名のコミュニティを数回やって広げていくというのを1年くらいかけてやっていたと聞き、今では2000万DLを誇るゲームも最初のスタートはそうだったんだと思うと励みになりますよね。
アプリマーケティングの市場は1兆円規模で、これからどんどん伸びるかというとそうではなく、マーケットは減少していくと見ています。人口も減少して行くし、どこかで頭打ちは見えている。新規を取りに行くことも大切だけど、既存の満足度を上げて行く=ファンマーケティングに力を入れているというストーリーにも納得です。
一方で、よなよなエールは差別化を徹底的にやろうとして、ターゲットは明確に狭く深くしています。世界のビールの種類は100種類以上もあり、日本の一般的なビールは「ピルスナー」という分類に入り、「クラフトビール」のマーケットはたったの1%だそうです(初めて知りました)。
よなよなエールは、パレート(2:8)の法則を意識していて、2割のコアファンをしっかり作ることを目標としているとのこと。上位10%の感度の高い人が売り上げ全体の6割を占めていて、ブランドと長期的に付き合ってくれる強い基盤を作れているのはすごいです。さらに、マーケティングを製品軸と会社軸で考えていて、ファンイベントを通じて会社ブランドのロイヤリティ向上が2割の熱狂的ファンを生み、その強力な口コミが製品の認知、購買につながる設計です。カスタマージャーニーを紐解いて見えた考え方だそうですが、こちらも大変参考になりました。効果測定としては、イベント満足度は7段階でとっていて、NPSだけでは測れないブランド(会社、製品)のLOVE度も追っています。
よなよなエールの佐藤さんのお話を聞いて総体的に感じたことは、佐藤さんの肩書きがそれを表していますが、FUN×FAN団長として、製品・ブランドを愛し、社内、社外を巻き込むコミュニケーション力が卓越されているということ。ご本人の登壇も含めて、よなよなエールから発信されるコンテンツからは一貫して「愛」が感じられます。
例えば、親近感を感じさせるニックネームで呼び合うというカルチャーはHPにも表現されていて、きっとイベントでも当たり前に社員をニックネームで紹介されていることが想像できます。(ニックネームで呼び合う会社は他にもありますが、照れや恥ずかしさがありなんとなく社内だけ・・・になっていて中途半端なカルチャーになっている企業がほとんどだと思うからです)
今回のイベントでは佐藤さんはよなよなエールのTシャツを着ていましたし(※冒頭の写真参照)、スタッフが愛着を持っていないと伝播しないこと、自分の所作1つがブランドに与える影響を左右することを丁寧に表現されていましたので、佐藤さんが率いるチームも「愛が伝播させる」ということをものすごく大事にされているんだろうなと感じました。
また、年間1万人のお客様に合うイベントは社内でプロジェクト化していて、製造から管理まで「手伝ってくれる人!」を募り、社内巻き込みでやっているというのが印象的でした。
実際のユーザー(お客様)に会う、触れる、というのがものすごく重要なことで、それがどの部門の社員にとっても、自分自身の仕事に必ず活かされますし、モチベーションアップにも繋がります。イベントは基本日曜日で、イベント明けの月曜日は代休をとるようですが、日曜日でもイベントをやりたいとう社員は増えているようで、とても良い流れが社内で起きているんだろうなと感じました。
最後にDeNA今西さん、よなよなエール佐藤さんが共通して仰られた組織改革、人材育成について。今、マーケティングの役割が広がり、マーケ人材に求められるスキルはかなり高くなっています。期待値を超えるものを持続的に提供するには、マーケだけが頑張ってもダメで、マーケッターがプロデューサーとなってどんどん組織改革も含めてやっていくことが必要な時代です。
やらされ感ではなく、いかに能動的に情熱を持って動けるチームを作れるか。ロジカルとパッションを兼ね備えたマーケターが求められています。
(注)写真は登壇者及び事務局の許可の元に撮影したものです。
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